EcoFlow RIVER 2

リン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)を採用したEcoFlow最軽量ポータブルバッテリー
価格:29,900円(税込)

2022年10月25日に発売された、EcoFlow RIVER 2は従来モデルよりも性能を下げることにより低価格化に成功。ポータブルバッテリー入門機としておススメしやすい製品になりました。RIVERと比較した際に大きく変わったのが、AC出力が600W→300Wへ バッテリーが三元系からリン酸鉄系に変わり安全性、サイクル回数の大幅向上が図られました。また、LEDライト、5521DC出力コネクター、シガーソケットの蓋が省略されコストカットがビジュアル的にも分かるのは、残念ポイントです。


充電性能

EcoFlow史上最速60分で満充電
従来製品を凌駕する
圧倒的な充電スピード

RIVER 2は、業界トップクラスの高速充電を誇り、わずか60分で0%から100%に充電可能。これは、一般的なポータブル電源と比べて5倍速く、従来モデルより38%も充電時間の短縮が実現しました。急に思い立った旅行でも、RIVER2ならパッキングしている間にフル充電することができ、すぐに出かけることができます。 *RIVER 2 の充電時間は60分です。

EcoFLow公式サイト

EcoFlow製のポータブルバッテリーの代名詞ともいわれる高速充電は、RIVER 2でも健在です。300Wh以下のクラスだとACアダプターを使用して充電するタイプが主流、コンセントケーブルを本体に直接刺して充電できるのは非常に便利です。実際に充電をした計測値を参照に公称通りの性能が出ているか確認をしてみます。

実測データを確認してみると0% → 97%までは360W(最大値)で一気に充電をかけて97% → 100%までは260Wで充電を行います。充電完了までの時間は57分。60分以内に充電できるようにかなり攻めた充電制御をのようです。コンセントからの入力値は320Wh(容量256Wh)損失は20%、内部バッテリーの温度は28℃ → 44℃と上昇していました。アプリで最初に表示された充電時間との誤差は1分、充電は公称値通りの性能があることが分かりました。

充電時に気になる点
・フロントパネルにスリットタイプの吸気口を設けている為、独特の風切り音がする。
・アプリで表示されるパーセンテージが99.10%で進まなくなり突然100%になる。※2022.12.11現在


安全性

長寿命・安全なLFPバッテリー搭載
バッテリー寿命約3,000回で
10年間使用できる

電気自動車にも使用される安全なリン酸鉄リチウムイオン電池が搭載されており、充放電サイクル3,000回を実現。これは業界平均の6倍も長く、1週間に6回使用した場合、約10年間使用できる計算です。また高温環境でも安定して作動します。

※充放電1回を1サイクルと数え、RIVER 2を1週間に6回使用した場合、RIVER 2は使用開始から9.6年経過後にバッテリーの最大容量が80%に低下します。

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RIVERは三元系のバッテリーが採用されてましたが、RIVER 2になって安全性の高いリン酸鉄系が採用されております。容量は288Wh → 256Whに12%減少しております。耐久性に関しては3,000サイクル(約10年間)とテストをするには時間がかかる為、省略いたします。バッテリーの種類に関しては【リチウムイオン電池の種類】でご確認ください。

BMS

最先端バッテリー保護機能が高い安全性を確保

EcoFlowが提供する高度なバッテリー管理システム(BMS)は、バッテリーの電圧、電流、温度などを高レベルでモニタリングし、バッテリー寿命を最大化します。また、これらの保護機能がリチウムイオン電池を最適な状態に保つため、RIVER 2を安心してご利用いただけます。

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BMS(バッテリーマネージメントシステム)は、過電圧、過負荷、過温、短絡、低温、低電圧、過電流の保護


重量

アウトドアでの電力供給がもっと便利に
僅か3.5kgの軽量デザイン

RIVER 2は従来モデルより最大30%の軽量化を実現し、これまで以上に携帯性や利便性が向上しました。 *6アウトドアでのアクティビティや充電の手間を軽減し、どこにでも 簡単に持ち運ぶことができます。タフな環境からビーチでのBBQまで、あらゆるシーンに対応します。

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三元系からリン酸鉄系にバッテリーが変わった場合、同容量のバッテリーはエネルギー密度の違いで通常であれば重量が増します。RIVERの重量は5kg、RIVER 2の重量は3.5kgと30%の軽量化されており設計時に重量に関してはかなり力を入れて設計されたと思われます。他の荷物を持った状態で片手で簡単に持ち運ぶことができるので3.5kgは機動力に大きく貢献します。


UPS機能

停電時も安心のEPS機能搭載

家庭用電力のブレーカーが落ちても、電力供給元が30ms(ミリ秒)以内でRIVER 2のバッテリーに切り替わるため、電気製品をそのまま稼働し続けることができます 。この切り替え速度は、停電したことに気づかないほど。例えば、ご家庭にある水槽など日々使用する装置を絶え間なく稼働させることも可能で、RIVER 2は夜間に停電した時のための非常用電源として最適です。

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UPS機能はメーカーによって様々な呼び方をしています。サーバーなどで使用するUPSと性能を比べると切替スピードが30ms以内と多少のラグはある為、EPS(非常電源機能)と表現しているようです。実際にテレビなどを繋げてAC→バッテリーと切替を行ってみるとLED照明などでは一瞬停電するのが分かるくらいのスピードで切り替わります。


X-Boost

X-Boostで最大450WのAC出力
メイン家電の80%対応

RIVER 2は、最大300WのAC出力ポートを備えています。X-Boostモードをオンにすれば、過負荷の心配なくドライヤー、電気ケトルなどの消費電力の高い家電製品に給電することができます。

※RIVER 2は定格AC出力300W・X-Boost 450W

EcoFlow公式サイト

定格AC出力300WのRIVER 2ですがX-Boostで450Wまでの家電製品に給電することができます。実際に使用すると確かに使用はできるんですが、ハロゲンヒーターを接続するとベースは300Wなんだなと分かる程度しか暖かくなりません。あくまでも使用することができるおまけ機能程度に思うのが良いかと思います。


デザイン

RIVERから大きくデザイン変更を行ったRIVER 2はAC100Vのプラグを前面に配置することによって出力系は全て同じ面で統一されております。上部はフラットになっているので携帯などを置くスペースとして活用できるのですが、欲を言えばワイヤレス充電パッドがあればさらに良かったと思います。持ち手の部分が後方に大きく張り出しており車内にRIVER 2を収納する際、この出っ張りがRIVERでは綺麗に収納できたのにRIVER 2では、はみ出してしまうなど不満点もあります。LEDライト、5521DC出力コネクター、シガーソケットの蓋が省略されています。


スペック

容量:256Wh(20Ah 12.8V)
重量:約3.5kg
サイズ:24.5 x 21.5 x 14.5cm
AC入力:100-120V 50Hz/60Hz, 最大8A
DC入力:11-30V 110W, 最大8A
USB-C 入力/出力:5/9/12/15/20V 3A, 最大60W
DC出力:12.6V 8A, 最大100W
USB-A 出力:5V 2.4A 各ポート最大12W
AC出力:純正弦波、合計300W(サージ600W) 100V~ 50Hz/60Hz X-Boost 450W
電池素材:リン酸鉄リチウムイオン電池
寿命:3,000回以上(80%+)


実稼働時間(AC交流100V)

ポータブル電源の現状としては直流(バッテリー)を交流に変換する際にかなりの損失があり、理論値と実稼働時間には大きな差があります。こちらに関しては【インバーターの効率】でご確認ください。

RIVER 2はどの程度の性能を持っているのか計測値を元に検証を行います。
負荷:18W、36W、100W、200W、300Wでテスト
室温:20℃~22℃
機種:EcoFlow RIVER 2


【18W】出力6%
実稼働時間:7時間21分 132.3Wh(51.6%)

【36W】出力12%
実稼働時間:4時間47分 172.2Wh(67.2%)

【100W】出力33%
実稼働時間:1時間55分 191.7Wh(74.6%)

【200W】出力67%
実稼働時間:58分 193.3Wh(75.6%)

【300W】出力100% ※オーバーヒート
実稼働時間:38分 190Wh(74.2%)

※通常、バッテリーの劣化を防ぐため放電深度90程度になるように制御されていますが製品のスペック×0.9からさらにパーセント計算になると直感的に理解するには向いていない為、放電深度は100で計算しております。

表を参考に性能を見ると出力20%までは損失がかなり大きく実用範囲ではないことが分かります。18Wでは約半分程度の容量しか使用することができないので消費電力の少ない家電製品(LED照明など)の使用には向かないかと思います。実用的になるのは20%(60W)以上となりますが、効率は約75%なので長時間100Vの機器を動作させるには容量不足を感じる可能性があります。


実稼働時間(DC直流12V)

RIVER 2はどの程度の性能を持っているのか計測値を元に検証を行います。
負荷:13W、21W、45Wでテスト
室温:20℃~22℃
機種:EcoFlow RIVER 2

【14W】出力14%
実稼働時間:13時間47分 193Wh(75.3%)

【21W】出力21%
実稼働時間:9時間48分 205Wh(80.0%)

【45W】出力45%
実稼働時間:4時間36分 205Wh(80.0%)

【85W】出力85%
実稼働時間:4時間36分 205Wh(80.0%)

AC100Vとは違い出力15%程度でも約75.3%と高効率なのが分かります。バッテリーの仕様を見ると12.8V 20Ahと記載がありますのでバッテリー直接から出力している関係で損失が少ないのかと思われます。DC12Vに関しては上限値が8A(100W)と使用できる電力量が少ない為、動かせる機器の制限はありますがLED照明など省電力の機器を動かすには最適かと思います。13W以下の機器を接続した場合、残り時間がうまく表示されない不都合があります。


総合評価 4.1

ベンチマーク的存在のEcoFlow製ポータブルバッテリーで定価3万円以下は入門用に十分な性能を有しており高評価をつけました。ただ、AC変換効率などを見るとコストカットの影響が出ているのではないかと思う結果は少々残念なポイントでした。

価格:5 デザイン:4 安全性:5 充電:5 出力:3 機能:3 アプリ:4 付属品:4

おすすめ度 4.5

EcoFlow製ポータブルバッテリーが3万円以下で購入できる事に驚きました。出力、容量は実用性を考えると少ないのですが、高速充電、LFPバッテリー、アプリでの管理、入門モデルとしては十分過ぎる性能を有しており、ポタ電の世界に飛び込むきっかけには最適な1台です。